- 社会保険労務士っていったい何?どんな資格なの?
- 社会保険労務士はどんな仕事が出来るの?
- そもそも、社会保険制度って何?
社会保険労務士という資格に興味を持ったけど、具体的には何をする資格なのかよく分からないと感じていませんか?
私も社会保険労務士の資格勉強をするまではほとんど社労士の存在や社会保険制度についての知識がありませんでした。
でも実は日本の社会保険制度ってすごく保障が手厚い良い制度ですし、どんどん学びたくなる奥が深い制度でもあるんですよね。
そして、社労士はすごく幅広く色んなことができる資格なんです。
社労士試験の勉強を始める前に、社会保険労務士や社会保険制度について少しでも知識を持ってもらえるとうれしいです!
社会保険労務士とは何か
まずはそもそもの前提として、社会保険労務士とはどんな資格かということについて解説します。
全国社会保険労務士会連合会のwebサイトには、このような記載があります。
社労士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。
企業の成長には、お金、モノ、人材が必要とされておりますが、社労士はその中でも人材に関する専門家であり、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、業務を行っております。
社労士は、企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は広範囲にわたります。
全国社会保険労務士会連合会HPより引用
この解説からも読み取れる通り、社会保険労務士は「人」に向いた資格とよく言われます。人、具体的に言うと「労働者」に関わるあらゆる手続きや制度設計を行うのが主な仕事といえます。
社会保険制度とは何か
続いて、社会保険労務士の名前の中にもある「社会保険」制度について解説していきます。
社会保険とは…
公的な費用負担により、誰もが人生の途上で遭遇する様々なリスク(疾病、負傷、死亡、妊娠、高齢、介護や失業、労働災害など)に備えるための制度のことを指します。
公的な社会保険制度では、法律等によって国民に加入が義務付けられるとともに、給付と負担の内容が決められています。
このような保障があるからこそ、私たちは社会生活を営んでいく上でのリスクを恐れず、日常生活を送ることができるとともに、人それぞれの様々な目標に挑むことができます。
そして、それが社会全体の活力に繋がっていきます。
反対に、社会保障が不安定となれば、将来の生活への不安感から必要以上に貯蓄をするために消費を抑制する等の行動をとることによって経済に悪影響が及ぼされることが予想されます。
つまり、社会の活力が低下する恐れがあります。
私たちの生活の根幹のみならず、社会全体を支えるとても重要な制度ということがわかりますね。
具体的な社会保険の種類
そんな重要な制度である社会保険は、広い意味で
医療保険
年金保険
介護保険
雇用保険
労災保険
の5つを指します。(広義の社会保険といいます)
その中でも、医療保険と年金保険、介護保険の3つは「狭義の社会保険」と呼ばれ、雇用保険、労災保険は「労働保険」とも呼ばれます。
社会保険制度は、その目的や事故の原因などによって制度が細かく分けられています。
次の項目からは、1つずつ詳しく解説していきますね。
①医療保険
医療保険とは、病気や怪我で通院したり入院したりするときに、医療費負担を軽減してくれる制度のこと。
私たちが病院へかかるとき、医療費の一部(一部負担金)のみを負担するだけで診察や治療を受けることができますよね。
この一部負担金を超える部分を賄ってくれるのが、健康保険です。
公的な医療保険は、大きく3つに分けることができます。
健康保険
国民健康保険
後期高齢者医療
受けられる保障は主に
療養給付
高額療養費
傷病手当
葬祭費
などがあります。
健康保険
健康保険は、被用者(雇用されている人)が加入する医療保険です。
民間の企業、船員、公務員などで保険者が異なりますが、大体の保障内容は同じです。
民間の企業に所属している人は、主に健康保険組合又は協会けんぽに加入することになります。
健康保険の特徴は、保険料の半額を事業主が負担してくれるという点。この後説明する国民健康保険よりも保険料を安く抑えることができます。
国民健康保険
都道府県が運営する、被用者以外の人が加入する健康保険。
以前は市町村ごとに運営していましたが、財政状況の悪化や自治体によって保険料の格差が大きいことなどを是正するために、より大きな規模の都道府県ごとに運営するように変わりました。
とはいえ、保険料は全額自己負担+被扶養者という概念がないため、健康保険と比較すると高額となります。(収入が同じ場合)
受けられる保障は健康保険とほとんど同じですが、傷病手当と出産手当を受けることができる自治体は限られます。
後期高齢者医療
75歳以上または一定の障害がある65歳以上の方のみが加入できる健康保険。
例え働いていたとしても、75歳になると強制で後期高齢者医療保険に加入することになります。
日本は国民の誰もが安心して医療にかかることができる国民皆保険制度となっています。
そのため、必ずどれかの健康保険に加入することになります。
②年金保険
年金保険は、年老いた場合やいざという時の所得を保障してくれる制度のことを指します。
公的な年金保険は、大きく次の2つに分けることができます。※国民年金基金・企業年金は除きます
国民年金保険
厚生年金保険
保障されるのは「老齢・障害・死亡」です。
それぞれの制度から、
老齢年金
障害年金
遺族年金
が支給されます。
国民年金保険
国民年金保険は、20歳以上の国民が全員加入しなければならない年金制度です。
この国民年金の制度があるおかげで全国民がいざという時の保障を受けることができます。
国民年金保険の被保険者は大きく3つに分けられます。
厚生年金保険
厚生年金は、被用者(≒労働者)が加入することのできる年金制度です。
一般的には「2階部分」と言われるものになります。
普通の会社員の方は、
と、ややこしいのですが2つの年金制度の被保険者の資格を持っています。
日本は国民皆年金なので加入は必須となっています。
「消えた年金問題」などで年金制度に不信感を抱いている方もいらっしゃるかもしれませんが、年金制度は老後、障害、死亡により収入がなくなってしまった被保険者やその家族の生活を支えてくれるとても大事な制度です。
③介護保険
介護保険は、加齢により日常生活が不便となってしまった方の生活を支えることを目的とした制度です。
要介護・要支援の認定を受けることによって、介護サービスに要した費用の一部の補助を受けることができます。
40歳から加入し、保険料の支払いが始まります。
40歳から65歳までは第2号被保険者となり、保険料を納めなくてはなりません。
65歳からは第1号被保険者となります。
年老いてから使うもの…のイメージが強いですが、実は第2号被保険者となる40歳から保障を受けることが出来るんですよ!
※ただし、老化が原因とされる疾病により介護が必要と認定された場合に限ります。
④雇用保険
雇用保険は、
失業したとき
失業しそうなとき(育児・介護)
雇用の安定のために学ぶとき
などに給付を行う制度のことです。
失業したときは「基本手当」、育児をする時は「育児休業給付金」、雇用の安定のために学ぶときは「教育訓練給付金」など、様々な種類の給付を行っているのが特徴です。
すでに書きましたが、雇用保険は失業した人だけではなく、現在働いているけど
キャリア形成のために学びたい人
も給付を受けることができます。
ちなみに、ユーキャンの社労士講座は雇用保険の一般教育訓練給付金を受けることができる講座なんですよ。
あなたが支給対象かどうか、ぜひ受講前にチェックしてみてくださいね!
⑤労災保険
労災保険は、業務上の事由または通勤による負傷や疾病に対し、保障を行う保険です。
治療費のほか、年金給付なども受け取ることができますよ。
労働者やその遺族を守ることを目的としているので、労働者を1人でも雇用している会社は全て加入が義務付けられています。
他の社会保険とは異なり、労災保険のみ、保険料は全額が使用者の負担となります。
つまり、業務に起因する病気や怪我は自己負担なしで保障が約束されているということになります。
労働者が安心して働くために必須な制度と言えますね。
最近は複数の事業所で働いている人への保障の規定ができるなど、副業やダブルワークをしている人への保障も拡充されました。
まとめ
日本の社会保険制度は批判されることが多いのですが、その保証は世界的にも水準が高いと言えます。病気や怪我をしたら安価で受診することができたり、障害を負ってしまったら年金給付を受け取ることができたり、どんな状況でも安心して生活することができるのは社会保険制度があるからこそです。
社労士の仕事の範囲は働く人の生活の根幹、とても大切なところに関わらせていただく仕事であると日々実感しています。
法を遵守し、適切に社会保険制度へ加入手続きをすることで、正しい保険給付を受けることが出来る。それはその人の生活を守ることに繋がる…
社会保険労務士は、社会保険の手続き業務などを通じて人の生活を守る手助けをすることが出来るとてもやりがいのある仕事です。
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