- 社会保険労務士っていったい何?どんな資格なの?
- 社会保険労務士はどんな仕事が出来るの?
- 社労士のやりがいってどんなものがあるの?
社会保険労務士という資格に興味を持ったけど、具体的には何をする資格なのかよく分からないと感じていませんか?
この記事では、社労士の資格の概要や魅力について、現役社労士の筆者ができるだけ詳しく解説をしています。
社労士に興味を持った方に、少しでも社労士の魅力を知ってもらえたら嬉しいです。
社会保険労務士とは何か
まずはそもそもの前提として、社会保険労務士とはどんな資格かということについて解説します。
全国社会保険労務士会連合会のwebサイトには、このような記載があります。
社労士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。
企業の成長には、お金、モノ、人材が必要とされておりますが、社労士はその中でも人材に関する専門家であり、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、業務を行っております。
社労士は、企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は広範囲にわたります。
全国社会保険労務士会連合会HPより引用
この解説からも読み取れる通り、社会保険労務士は「人」に向いた資格とよく言われます。人…具体的に言うと「労働者」に関わるあらゆる手続きや制度設計を行うのが主な仕事といえます。
社労士が専門とする法律は?
続いては、社労士が専門とする法律について書いていきますね。
先ほど、社労士は主に労働者に関わる手続きや制度設計を行うのが仕事と書きましたが、社労士が専門とする法律は労働者に関わる法律が網羅されています。
主な法律を具体的にあげると次のようになります。
労働基準法
労働安全衛生法
労働者災害補償保険法
雇用保険法
労働保険の保険料の徴収等に関する法律
労務管理その他の労働に関する一般常識
社会保険に関する一般常識
健康保険法
厚生年金保険法
国民年金法
例えば、出産、育休に関連する法律はこの中にいくつあるか分かりますか?
- 産前産後休業や育児時間の取得などは労働基準法
- 出産手当金や出産一時金は健康保険法
- 産休・育休中の社会保険料の免除制度は健康保険法、厚生年金保険法
- 育児休業給付金は雇用保険法
などなど、一口に出産、育休と言っても様々な法律の制度が絡んでいます。
このように、労働者の手続き一つをとってみても複数の法律を横断した知識が求められる事例が多いため、複雑な業務も多いです。そんな時、社労士資格を持っていることでその専門性を活かすことが可能です。
1つの事例について、多角的に考えることが出来るのは様々な法律を勉強したからこそですね!
社労士の行うことのできる業務とは
社労士の行うことのできる業務は大きく分けて3つ。内容に応じて「1号業務」、「2号業務」、「3号業務」といったふうに呼ばれています。
それぞれの業務の内容は次の通りです。
社労士の1号業務とは
社労士の1号業務は、簡単に言うと労働保険や社会保険に関する法律に基づいた申請書の作成や当事者の代理人を務めることを指します。
上で挙げた出産・育休の例で再度例えると、
・出産手当金、出産一時金の請求書類
・産休・育休中の保険料免除の申請書類
・育児休業給付金の請求書類
・生まれたお子さんの扶養の手続き書類
など一連の手続き書類を代行して行うことができます。
これらは会社の総務の方が手続きをすることもできますが、他の業務もある中、最新の法律の知識を元に手続きを漏れなく進めるのはかなり難易度が高いです。
社労士は、会社の総務の人が法律を勉強するまでもなく、適切に手続き業務が完了しているという状況を作りだすためにその専門性を活かし、1号業務を行います。
社労士の2号業務とは
社労士の2号業務は、労働社会保険関係法令に基づく帳簿書類を作成することです。
労働保険関連の帳簿には、『法定三帳簿』と言われる労働者名簿・賃金台帳・出勤簿があります。これらの作成代行は、2号業務として社労士の独占業務となっているんです。
また、就業規則や労使協定などの策定、届け出についても社労士の2号業務となります。
1号、2号業務を見ると、会社の労務関係の書類の作成はほとんど社労士が行えると言っても過言ではありません。それほどまでに社労士が会社や労働者に関わることが出来るのは、社労士の資格の専門性が高いからこそと言えると思います。
社労士の3号業務とは
社労士の3号業務は、労務管理や社会保険に関する相談に応じたり指導をしたりすることです。
端的にいえば、労務関係のアドバイスやコンサルティングです。
3号業務は独占業務ではないため、社労士ではない人でも行うことのできる業務なのですが、労働関係諸法令に精通している社労士だからこそ出来るアドバイスやコンサルがあると思います。
また、3号業務はこれといって決まった業務をやる訳ではなく、ある程度個人の裁量に応じたサービスを提供することができるため、他の社労士さんと差をつけやすい分野であると言えます。
社労士の働き方
社労士の働き方は大きく分けて2つあります。
①開業
②勤務
開業はその言葉通り、自身の資格を活かして社労士事務所を構えること。
勤務は会社に勤めて社労士として仕事を行うことを指します。勤め先は社労士事務所だったり一般の会社の労務部門だったりと様々。
色んな働き方が出来るのは社労士の魅力の一つですが、その反面、自分がどんな道を進むのか定まりにくいのが難点といえます。
ちなみに、筆者の働き方は「会計事務所のグループ会社である社会保険労務士法人での勤務社労士」です。
勤務社労士としての体験談はこちらの記事でまとめているので、社労士のリアルな働き方について知りたい方はぜひご覧くださいね。
まとめ
社会保険労務士は、労働、および社会保険に関する諸法令の専門家。この記事で社労士の専門性について分かっていただけたのではないかと思います。
よく社労士の仕事は今後なくなっていくと言われますが、私自身はそう思いません。社労士は労働者が存在する限り仕事がなくなることがないと思っています。
それどころか、価値観や働き方が多様化する現代において、その重要度が増してきているとすら感じています。
例えば「ワーケーション」や「副業・兼業」は現代ならではの働き方ですし、法律も単純ではありません。制度設計には社労士の専門知識は必須であると考えます。
専門性を活かして働くことが出来るうえ、社労士そのものの働き方も多様であるため、今後働き方を変えていきたいと考えている人にはピッタリの資格とも言えます。
ぜひ社労士の資格を取って、一緒に社労士として働きましょう!